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「それで、その顔は一体どうしたんだよ? まさかまた妹さんと喧嘩したのか?」
「そのまさかですよ」
「お前らも本当、仲良いねぇ」
仙石先輩は堪に障る声を上げて笑うと、不意にぬぅ、と僕に近づき怪我してる方の頬にデコピンをかました。
いや、オデコにはしてないから正確にはデコピンではないのかも知れないが、今はそんなの比較的どうでもいい。
「…あの、痛いんですが」
「んだよ、それぇ。もう少しくらい面白い反応しろよなぁ」
「そんな理不尽な。ていうかもう勘弁して下さいよ。今日は朝から色々あって、僕疲れてるんです」
「まあまあ、そんなに邪険にすんなよ。どうせ暇なんだろう? チェスでもしようぜ」
「…ここ、テニス部ですよね?」
僕は、この人が苦手だ。
我が儘で、自己中で、自分本位で、結構チャラい感じなんだけど実はあんまり女の子に免疫なくて、その癖、
僕の妹に惚れてる気がある。
万が一何かが何かを間違えてこの人が僕の妹と結婚なんてことになったら、僕はこの人の義兄になり、この人は僕の義弟になるのか。
…それムリ。断固拒否だ。
僕の可愛い可愛い妹をこんなどこの馬の骨とも分からない奴には絶対にやらないぞ。絶対にだ。
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