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「はい、キャスリング。チェック。チェック!チェーック!!」
「少し落ち着いてやって下さいよ。ていうか全然チェックじゃないじゃないですか」
チェスをやっている時の仙石先輩は兎に角うるさい。初手から毎回毎回チェックを連呼してくるからだ。
君、ちょっとルールブック買ってこようか?と何度言いそうになったか分からないが、相手が先輩だから、我慢我慢。
何だかんだ言って、毎回毎回先輩に花を持たせてやっている辺り、僕は本当に大人だと思う。
まあ、こんな僕より一年早く生まれただけの子供に全力を出すほど僕も落ちぶれちゃいない--……
「よし、じゃあ次俺が勝ったらお前の妹さんを俺にくれ!」
--前言撤回。全力で潰した。
味方のポーンを全部クイーンに昇級させてやった。相手のキング涙目ざまぁ。
「お、お前、そんなに俺とあゆみちゃんがくっつくのが嫌なのか!?」
「あ、ていうか気安く僕の妹のファーストネームを呼んだりしないで下さい」
「そこから!? だってお前ら兄妹なんだから、名字で呼んだら分かんないだろ」
「僕は御津橋くん、妹は御津橋さんで十分分かります。何のために兄妹で性別変えたと思ってるんですか」
「性別違うのは故意なのか!?」
僕はこの人が苦手だが、
妹が関わった時の仙石先輩は、いじりやすくて結構好きだったりする。
遊べる人かどうかが、僕の好き嫌いの大きな判断基準だ。
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