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「修ぅ~っ! 起きて! 遅刻しちゃうよ!」
早朝。
僕の部屋には妹がいて、騒いでいて、目覚まし時計が鳴っていて、外の小鳥が鳴いていて、何だか全てが五月蝿くて、
妹が僕に馬乗りで、頬をぱんぱんに膨らませて、小気味良い音と共に平手打ちをかましてくれた辺りで、
漸く、僕の目が覚めた。
「…痛い」
「うるさい! 修が起きないのが悪いんでしょ! ていうか、朝起きたらまず『おはよう』って言うんだよ!」
「…おはよう」
「うん、おはよう」
妹は満足げに笑うと、僕の襟首を掴んで僕をベッドの上から引きずり落とす。…痛い。苦しい。
そしてそのまま胸倉を掴むと、僕の体を自分の肩にかけるようにして、部屋の外まで僕をずるずると引っ張って行く。
…妹の癖に、無駄に男らしい。この華奢な体のどこにそんな力が?
「ねぇ、僕もう起きてるよ? 一人で歩けるよ? 過保護なの?これは過保護なの?」
「うるさいなぁ! どうせ放っておいたら二度寝でも三度寝でもしちゃうんだから、私がこうして仕方なくリビングまで連れて行って上げてるんじゃない!」
「そうか、さんきゅ~」
「だからっていきなり全力で脱力するなぁ! 重いよぉ!」
「全力で脱力って(笑)。別に上手くないぞ?」
「うるさぁいっ!!」
…僕の妹は、酷く短気だ。
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