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「人に簡単に死ねなんて言うんじゃありません。次言ったら死刑だからね」
「言ってるそばからパラドックス!?」
相変わらず、僕の一言に対して過剰なまでの反応を見せてくれる妹が、何かもう本当に面白くて、僕はちょくちょく妹に意地悪をする。
僕がSだとしたら、それは間違いなく、この子のせいだ。マストビー。
「まあ、何だ、妹よ。漢字テストなんて、普通の生活を送っていれば何も臆する事はないじゃないか」
「ふ、普通の生活…?」
「そうそう、暇さえあれば漢字辞書を見ているような、所謂普通の生活を送っていれば漢字テストくらい……」
「薔薇と麒麟と髑髏しか書けない偏った馬鹿は黙ってなさい」
「ごめんなさい……」
僕の妹は、口が悪い。
偏った馬鹿って言われたのは、生まれて初めての経験だ。妹にバージンを奪われてしまった。
何か複雑……。
「ねぇ、それよりも修?」
「ん、何? 今君の学力以上に優先しなければならない話なんてないと思うんだけど……」
「私そこまで馬鹿じゃないもん! 少なくとも修よりは頭良いもん!」
「言ったな? 偏差値チェック。僕78」
「な、ななじゅ!?」
「嘘だよ」
「死ね!」
僕の妹は、すぐに怒るし、すぐに拗ねるし、意味分からない理由でふてくされるし、案外涙もろいし、何だかんだで甘えん坊で、酷く手がかかる奴だけど、
多分、世界で一番可愛い妹だ。
嘘だよ。
実際言うほど可愛くなかったりするから、兄妹って不思議。
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