9人が本棚に入れています
本棚に追加
えっちらほっちら、思わぬ重荷を背負っている分、いつもよりも軽やかさに欠ける足取りで自転車を漕ぐこと3分42秒。漸く校門をくぐり抜けた辺りで、ちょうどチャイムが鳴った。
僕達の通う学校はチャイムが鳴り終わるまでに校門横のセキュリティー装置に学生証カードをを通すことが出来れば遅刻にはならないシステムなので、うん、今日も僕達はギリギリセーフというわけですな。
しかし、やけにハイテクだ。この学校。
金の使い方を間違えてやしないだろうか。
「もう、本当にギリギリじゃん! 焦ったぁ…。次から絶対寝坊とかしないでよね! じゃあ、私は自分のクラスに行くから、またあとでね、修」
妹はそう言うと、自転車から飛び降り、颯爽と教室まで駆けて行った。
どうやら学園生活を楽しんでる風の彼女の姿にほっと胸を撫で下ろす僕ではあったのだが、少し、エンジョイし過ぎかな。
カバンを忘れてますよ、マイシスター。
…多分、あとで取りにくるよな。妹を走って追いかけるのは面倒くさいし。汗かきたくないし。
僕は自転車を校舎裏に設置された駐輪場に停めると、あえて妹の教室には寄らず、自分の教室に直行した。
意地悪ですが、それが何か?
最初のコメントを投稿しよう!