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「し、修~っ! わ、私のバッグ持ってないかなぁ…? 忘れちゃったみたいで……」
卑弥呼さんと話していると、痺れを切らしたのか、妹が半泣きになりながら教室の隅っこに席を構える僕のところまでやって来た。
出来るだけ注目を浴びないようにと、小声でぼそぼそと話す彼女だったが、ああ哀しきかな妹よ。他学年の教室に入り込んで目立たないはずがないんだよ。
いと哀れ。いと哀れ。
「ね、ねぇ修? 聞いてる? バッグ、私のバッグが……」
度重なる好奇の視線アタックにズタズタにされながらも健気にバッグを求める妹。
小動物みたいに震える彼女の頭を優しくポンポンと撫でてから、僕はカバンを彼女に渡して微笑むと、
悪意のこもった顔で嘲る様にこう言った。
「あれ、もうすぐ漢字テストじゃない? 使う?漢字辞書。あ、いや、もう遅いか(笑)
後の祭り、後の祭り。人生終了ぷぷぷっ(笑)」
「こ、こんの野郎ぅ~っ!」
僕の妹のパンチは、時々幕ノ内一歩のそれを超える。僕の妹がフェザー級チャンピオンになる日も、案外そう遠くないのかも知れない。
僕 vs 妹
知略を尽くすも、才気溢れる右ストレートにて僕敗退。妹のKO勝ち。
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