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「なにやってんだ。俺は。」
後悔した。なに恥ずかしいことをしてんだ。
そう思うと顔が赤くなった。なんとか忘れようと、夢中で走っていた。
気が付くと200人中7位でゴールしていた。あとで話を聞くと神がかった怒濤の追い上げだったそうだ。
表彰を終え、賞状を持って途方にくれていると、松永さんがやって来た。
「こんにちは。7位だって。すごいね。」
明日が雪だとは思えない位空は晴れていて冬の澄んだ空に浮かぶ夕日が綺麗だった。日も暮れだして寒かったが、彼女の笑顔がそれさえも忘れさせてくれた。
「別に。そんなことないよ。」
素っ気なく返事をする。
「なんか、素っ気ない。私のこと嫌いなの?」
「そんなことないよ。」
平静を装っていたが、内心慌てる自分がいた。
「良かった。あ、そうだ。さっきの『ガンバレ!』あれですごく元気がでた。ありがとう。」
彼女の顔に夕日が当たり、笑顔をいっそう輝かせた。
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