優しい嘘

マラソン大会

俺は普通の高校生だ。
走るのは遅くもないが、早くもない。マラソン大会も中盤、今年も中段ややうしろ辺りを走っていた。

一方その頃ユタカはというと俺の少し後方でバテバテになりながら走っていた。最初の威勢はどこへやらって感じだ。

折り返し地点を少し越えた辺りで先に折り返した女子の後方集団に追い付く。

その中に松永さんがいた。あまり走るのは得意でないのだろう。もうバテバテだった。

「ガンバレ！」

俺は彼女の背中を叩いて追い抜いて行った。