葉山翔『ヴァイオレット・スキッツォイド』

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アパートを出て、二階の階段から降りた所で 「じゃあ俺はこっちだから。」 翔は左側を指差す。 「あぁ、気を付けろよ。秋山直樹さん。」 龍はそう言うと、さっさと翔とは逆方向に向かって歩きだす。 龍の背中を見送りながらも翔も歩きだしつつ、携帯を開き、時間を見ると16時17分だった。 「早すぎたか?まあいい。」 何しろ待ち合わせ場所はここから徒歩で50分はかかるだろう。 その待ち合わせ場所とやらまで行くのに公共交通機関の便も良いとは言えない微妙な場所にある。 葉山は車などは持っていないし、何より意外な事に葉山自身、軽い徒歩での移動が好きだ。 バッグからイヤホンを取りだし、携帯に繋いで音楽を聞きながら歩き始める。
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