葉山翔『ヴァイオレット・スキッツォイド』

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通話時間0分16秒 そう画面に出た携帯を布団の上に置くと、本棚から映画のDVDを一作取り出し、デッキに入れた後、買ってきたスナック菓子と酒を開け、飲み食いしながら映画を見始めた。 映画を見終わると、また左側の本棚からDVDを取り出し、デッキに入れた。 先程見たDVDは片付けずにデッキの上に置いたまま… 午前3時20分 灰皿はタバコの吸い殻で埋もれ、映画のエンドロールが流れる頃には、黒柳はテレビと部屋の明かりをつけたまま眠ってしまった… 眠りながら葉山は夢を見た。 山の峠を葉山ともう一人の男がバイクで走っている。 葉山の運転には落ち着きが無く、時速40km程でふらついている。前を走っているフルフェイスヘルメットで隠れていて顔が分からないが、男は心配しているっぽくこちらを何度も振り返る。 すると急激なカーブに差し掛かった。 男はまた心配そうにこちらを振り返った瞬間、カーブの向こうから大型のジープが現れた。 ジープはその大きさ故にこちら側の車線にはみ出している。 黒柳が危ないと思った瞬間にはもう遅かった。
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