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「まもなく富山~~」
車内アナウンスで目が覚めた。
トールにとって4年ぶりの帰郷だ。
4年前に高校卒業と同時に富山を飛び出し、漠然とした憧れだけで上京した。
かばんの中から今は使っていない古いケータイを取り出し、4年前の日付のメールを見る。
「お互い夢を叶えましょうね✌」
最後にユウコから来たメールをトールはずっと消すことができず、機種変更をした後もそのメモリを大切に保存していた。
最後のメールをくれた前夜、
「お互い夢を叶えるまでは連絡しないことにしよう」
そう言ったのはトールのほうだった。
ユウコの瞳は涙で潤んでいたけど、満面の笑みで「わかった」と返事をしてくれた。
あの日からもう4年、自分の夢が叶わないトールはずっとユウコに連絡していない。
ユウコから連絡が無いのは彼女の夢が叶ってないからなのか、それとも・・・
トールはそんな複雑な気持ちを抱えて電車を降りた。
東京ではめったに降らない、雪がちらついていた。
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