第零章 そうだ、異世界へ行こう

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甘太は箕川製菓に着くと、自転車を駐輪場に止め、本社ビルの前に立った。すると、中からスーツ姿の男がやってきた。 「甘里甘太さんですね。こちらへどうぞ」 「あっ、はい!」 スーツの男がそう言うと、甘太はそう返し、笑みを浮かべながら、スーツの男に付いていった。 地下10階の研究室に甘太が入ると、既にチャイナ女と金髪の青年がそこにいた。 「はい!これで全員ですね。それでは、皆さん、自己紹介をお願いします。まずは、甘太さん」 甘太がチャイナ女の隣に立つと、白衣にビン底メガネの白髪の老人がそう言った。 甘太は、何故自分の名を知っているのかと思いながらも白衣の老人の隣に立った。 「甘里甘太です。16歳で中学卒業後からマジシャンをやってます。よろしくお願いします」 甘太がそう言うと、周りから拍手が上がった。 そして次は、チャイナ女が白衣の老人の隣に立った。 「李蒼華(リソウカ)でス。お医者さんに聞いたら、特異体質で力がとても強いって言われまシタ。マフィアでボスやってマス。よろしくネ!」 (そんなポーズしたってプロフィールが怖ぇよ……) チャイナ女、蒼華がそう言ってアイドルのようなポーズをすると、甘太は心の中でそう言った。 すると最後に、青年が白衣の老人の隣に立った。 「マイセン・ヒューレットです。ハーハード大学を主席で卒業しました。IQは200です。よろしくお願いします」 (なんでそんなすごい人がこんな場所にいるの!?) 金髪の青年、マイセンが眼鏡を押し上げてそう言うと、甘太は心の中でそう叫んだ。 そして、マイセンが元の場所に戻ると、白衣の老人が口を開いた。 「はい。自己紹介は終了ですが、私から補足を、 まず、甘太さんはご自身のマジックの中に、質量保存の法則を無視するマジックがあります。 次に蒼華さんは、裏世界の女帝と呼ばれ、おそれられています。そして、銃弾を拳圧で止めることができます。 そして、マイセンさんは瞬間記憶能力を持っていて、一度覚えたことを忘れることは無いそうです」 「嘘だろ……」 白衣の老人がそう言って、口を閉じると、甘太はそう声を漏らした。 「そういえば、商品を好きなだけ貰えるって書いてありましたよね?」 「それは、異世界から帰り次第、お渡しします」 「そ、そんな……」 甘太が白衣の老人にそう聞くと、老人はそう答え、それを聞いた甘太は、がっくりと肩を落とした。
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