第零章 そうだ、異世界へ行こう

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東京某所、クリスマス一色の雪の降る夜の街にスーツ姿で金髪、黒い瞳の少年が歩いている。 歩きながらその少年は、顔を上げ、白い息を吐き、 「あ~あ……甘いもん食いてぇな……」 と呟いていた。 「到着~」 アパートに着くと気の抜けた声で少年が言った。 すると、アパートの中から黒髪の二十代位の女性が出て来た。 「あら。甘太(カンタ)さん。お帰りなさい。今日の公演はどうでしたか?」 「あっ。どうも。菜華(ナノカ)さん。まぁ、うまくいきましたよ。それよりも例のあれ、届いてますか?」 黒髪の女性、南島菜華(ミナミシマナノカ)が金髪の少年、甘里甘太(アマザトカンタ)にそう言うと、甘太はそう聞いた。 「あぁ、箕川製菓(ミノカワセイカ)の糖分50%特製ケーキですね。届いてますよ」 「おっしゃあ!今日はクリスマスパーティーだぜぇ!ありがとうございます!菜華さん!」 菜華がそう言うと、甘太はそう満面の笑みを浮かべ、ケーキを受け取ってそう言い、自分の部屋である201号室へと入っていった。 「もう、あの人は昔から変わらないわね……」 菜華は201号室に入っていった甘太を見てそうつぶやくと101号室へと入っていった。
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