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彼らも少しは考えたのかもしれない。
ただ一人、武器を持っているということは、コイツだけは弱いのかもしれない。そう考えてしまったのも仕方ないだろう。
他の二人に比べて暁の雰囲気は普通過ぎた。
しかし、彼らは知らなかった。
そもそもこの三人の中で唯一、積極的にケンカに参戦したのも、暁だけだった事を。
普通の人間は、この人数とのケンカに参加しようとは思わない。
彼は彼で腕に自信を持っているのだ。
角材を振り回して殴りかかってきた敵の攻撃をスタンロッドで軽くいなして、流れるように籠手を打つ。
バヂっと火花が散る程の電流が流れ、一人が倒された。
暁が油断なく残身で構えるが、倒された相手は痙攣をおこしていて、立ち上がってくる様子はない。
その様子を見て、暁を囲んでいた連中の一人が少し距離をとって、
「き、キタネーぞ、テメー、そんな武器使いやがって。この卑怯者!」
言われて、沢城もスタンロッドに目をやる。
「いや、俺もこんなに電圧が高いとは思わなかった。」
どっちが悪者か判らなくなってしまった。
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