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書かないか?と、差し出された油性のマジックを前に暁が悩んでいると、「面白いな。」
と、富士がペンを受け取った。
「おや、君はなかなかノリがいいな。見習いたまえ沢城。」
そう言って本条は懐からもう一本ペンを取り出して暁に差し出した。
何故そんなにペンを持っている?
暁が富士の方を見ると、富士はすでに何人かの額に落書きを終えていた。
富士の書いた落書きを確認すると、ただ一字『肉』と、書いていた。
あの超人のように強くなれ、ということだろうか?
「基本だな。額への落書きは肉に始まり肉に終わる。ならば僕はこうだ。」
そう言って本条は新たな額に肉の絵を描いた。
それもマンガに出てくるような骨付き肉ではなく、スーパーで売っているパック詰めされた豚の小間切れ肉を。
御丁寧なことにラベルにはバーコードまで描かれている。
「やるな。」
富士は感嘆の声を上げている。
「さあ、次は君の番だ。」
そう言って本条は再度、暁にペンを差し出した。「面白そうね。私も書いていいかしら?」
そう言ってペンを受け取ったのは暁ではなく、同じ高校の制服を着た女子生徒だった。
「残りは沢城の分だ。君に書く権利は無いよ。如月さん。」
本条はそう言って彼女からペンを取り上げた。
どうやら、それぞれの倒した人数がそのままキャンバスの数ということのようだ。
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