第一章~遭遇~

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今のやり取りで何か通じあったのか、暁と如月をほったらかして本条と富士は男同士で堅い握手を交わしている。 富士のアドレスの件はどうなったんだ? またしても疎外感を感じた暁は、 「如月さん、俺のこと知ってる?一応、クラスメートなんだけど。」 と、如月に会話を求めた。 「ふふっ、知ってるわ。あなた達は目立つもの。わたしのことはマリアでいいわ。」 そう言った如月マリアからは十代の少女とは思えない妖艶な色気を発していた。 「じゃあ、マリアちゃん。でいいかな?俺達が目立ってるってどういうこと?富士だけなら分かるけどさ。」 目立つという意味では同じクラスで彼女より目立つ存在はいない。 その彼女に目立つと指摘されるのは冗談としか思えない。 「そのままの意味よ。あなた達は目立ってるわ。」 まあ、確かに富士の暴れっぷりは有名だし、本条は変わり者だ。 暁自身気付いてないだけで目立つ要素を持っているのかもしれない。 地味と言われるよりはいいことだ。 学園のアイドル的存在である如月マリアの注意を引けること自体は喜びこそすれ、厭う理由は無い。
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