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六月四日、私立大城学園高等部の入学式から早二ヶ月。
沢城暁は大城学園高等部の一年生である。
そろそろ新しい学園生活にも慣れ、しかしまだ初々しさが残る雰囲気で、暁は級友の本条忠と共に帰路についていた。
本条とは入学当初から席が隣で、何かと話が合い、家も近いという事から二人は登下校を共にするのが習慣となっていた。
級友という事は本条忠も大城学園の一年生であるのだが、本条には初々しさといった印象を持つことの出来ない、ふてぶてしさがあった。
学園指定のグレーのブレザーに身を包んではいるものの、身につけている時計、眼鏡のお陰で学生とは思えない大人びた雰囲気を持っている本条。
暁と本条が並び、どちらが年上に見えるか?という質問を十人に問えば、十人共、本条を指すであろう。それ程、並んで歩く二人の一年生は違う雰囲気を身に纏っていた。
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