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「あれ、同じクラスの富士じゃないか?」
暁の言葉に、「そうだね。」と無関心に頷く本条。
「アイツ、ヤバいんじゃないか?」暁にはその男がピンチに見えた。
「確かにヤバいかもしれないね。」と、本条は級友のピンチに動じず冷静に応える。
「呑気なことを言っている場合じゃないぜ、下手したら殺されるんじゃないか?」
「そうだな。あの人数ならやりすぎて殺してしまうかもしれないね。」
「だったら、助けてやらないと。同じクラスのヤツを見殺しにするなんて目覚めが悪いだろ?」
どこまでも淡々とした返事をする本条に暁はイライラとさせられる。
「どうも、話が噛み合っていない気がするんだが、要するに、沢城は富士に加勢したい。と、そう言うわけだな?」
「さっきからそう言ってるだろ。」
「前置きが長すぎるのだよ。最初からそう言い給え。」
「なら、お前も一緒に行ってくれるんだな?」
「別にそうは言っていないが、まあ、いいだろう。」
そう言うと本条はきっちりと締めていたネクタイを少し緩めた。
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