第一章~遭遇~

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富士和真、その名を知らぬ大城学園生はまずいない。 入学初日、目つきが生意気だから、態度がデカイからと、今では珍獣より珍しい位の番長グループに呼び出しをくらい、十対一であったにも関わらず、番長グループを一人で撃退してしまった。 その一件が教師の耳に届き、富士は入学早々二週間の停学に処されてしまう。 そして、その話は学園中に知れ渡り、富士は学園中の全生徒から恐れられ、クラスで孤立してしまった。 富士に関する話を思い出しながら、暁はあまり乗り気でない本条を連れ立って河川敷に下りる。 級友の富士は堂々とした佇まい。 ポケットに両手を突っ込み、尊大な表情でガラの悪い不良集団を睥睨していた。 不良集団は中々の人数を集めているようで、その数三十。富士の肩を叩く。 富士は暁の方をちらりと睨むと「要らん」と助太刀の申し出を一蹴する。
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