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「そんな寂しい事言うなって。さすがの富士でもこの人数は骨だろ?」暁はそういいつつ、ポキポキと指の骨を鳴らす。
「勝手にしろ」
その一言を発すると同時に富士はポケットから手を出し、構える。
よく観察すると彼はかなりゴツめの手袋をしている。
構えと同時に富士の目の前にいた不良が吹き飛ぶ。
それが開戦の合図となった。
富士はオーソドックスなボクシングスタイルで構えてはいるが殆ど動いていないように見える。が、彼に殴りかかる不良は尽く吹き飛んでいく。不良達の拳は富士に届く事なく勢いを失う。
「常人の動体視力では追えない程の拳速だ。あんなので殴られるんだから、喧嘩上等をうたってる不良共も堪らないだろ。そら、君は一般人なんだからこれを使え。」本条は一方的にすらなっている富士の暴力を観察しながら、鞄から黒い棒を取出す。
「なんだ?これ。」
「スタンロッドだよ。電流を出したい時は持ち手の上にあるボタンを押せ。そして今日から君は‘スタンロッドの沢城’だ」本条はくっくっと嗤う。
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