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晴明は自嘲気味に笑んだ。
自分は役に立たない事をよく知っていたから。
神祓いができるのは、吉平と時由だけだ。
自分は神の陽なる陰気につられ増える雑鬼・鬼・魑魅魍魎などを祓うことくらいしかできない。
いくら稀代の大陰陽師とはいえ、何の役にも立てない。
時由を巻き込んだのは自分なのに……。
八歳だった時由を、その才故に日常から引きずり出したのは自分なのに。
いくら学んでも、無い才は手に入らないと。
そう知っていても───。
「望んでしまうのは……、愚かな行為なのでしょうか。」
誰に言うでも無く発したその呟きは、ただ虚空に溶けた。
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