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「あーあー、三大国全滅かあ?」
「う……うるさいっ、いい加減出て行けってば」
「いやいや、ハルハ、これじゃ駄目だよ。魔学<ダールィル>以前に、常識がなってないじゃん!」
「三大国くらい、ちゃんと知ってる!」
「いいよ、いいよ、強がらなくても」
いかにも憎らしげな様子で黒猫が囃し立てるので、ハルハもついかっとなって大声で言い返す。
「サハディン、ラハディン、それと……フヴィディン!どうだ!ネロ、思い知ったか」
自慢げなハルハを見遣り、黒猫は言う。
「ふーん、一応は知ってるんだね?
良かった良かった、ようやくこれで五歳児レベルだよ。レベルアップおめでとう」
「こ、こいつ……くそう、何でおればっか……」
「泣くなハルハ、男だろ?」
「誰のせいだと思ってる!あー、もう、いつかギャフンと言わせてやるからなあ、見てろよネロ」
ハルハは必死で抗議するが、ネロは取り合わない。
「へえー?でもさ、それじゃ何でまだ地図を埋められてないんだろうねえ?」
「むむむ……い、今から埋めようとしてたところだっ」
すると、ネロはにこーっと不気味で意地悪な笑みを浮かべて言った。
「ほっほう、さすがはハルハ、こんなのはお茶の子さいさい、って訳かな?
じゃあ、オイラに聞かせてくれ。王国<ラハディン>と、帝国<フヴィディン>の正式名称」
「う……えー、えーと、みっどおうこく、と、ばしれいおすれんごうていこく……?」
「おお!冴えてんじゃん!……発音は怪しいけどね。
そうそう、ミッドと、バシレイオス。なあんだ、分かってるのか。…あ、まさか綴りが分からなかったってオチ?」
「違うっ、位置が分からなかっただけだ!」
胸を反らすハルハを見て、ネロはげんなりと呟く。
「……威張るなよ、空しくなる」
そうして、やれやれと言った様子で再びハルハの肩に飛び乗ると今度は頭に乗った。
「重いだろ、降りろ!というか、乗るな!」
「一々一々うるさいよ、ハルハ。オイラの勝手だ。へんっ」
ネロは頭の上からハルハの顔を見て言った。
「じゃ、その調子でその他の主な国も言ってみようか」
途端にハルハは詰まってしまう。
「……ぐーっ、ムカツクな!上から覗き込むのヤメろよ」
「やーっぱ、ハルハはハルハだね……いやまあ、そこが良いんだけどさ」
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