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ミツカ=ハルハは、烏<ミツカ>家の中では浮いた存在だった。
魔力<ダーバル>の片鱗が見える、と言われていたのだ。
まだ十三歳で、その力もほんの僅かなものに過ぎない。だが、魔力は誰にでもあるものではない。寧ろ、それを持つものは少ない。ハルハの家族にも、魔力を持つものは今や誰一人いない。
それだけにハルハは迷っていた。今通っている七年制の少年学校の卒業を一年後に控え、どんな進路に進むべきかを、だ。
普通の上等学校に、ゆくゆくは大学校に進むのか、それとも――魔法専門学府<ダールム・ルーアル・ルィルサンジゥ>に進むのか。
両親は積極的に薦めたりはしないものの、魔専<ダールーア>に進んで欲しがっていると言うのは丸分かりだった。
確かに、それも悪くない。魔法士<ダールメル>の資格は、将来の人生にもきっと役立つ。
しかしながら、ハルハ自身は別に平凡な人生を歩んでも良いと思っていた。
この国のエリート層は魔法士が占めている。ところが、その逆は言えない。魔法士、即、エリートという図式は成立しない。
やはり、魔法士の中でもほんの一握り――大抵は魔術士<ダーイスケル>――だけが、権力の頂点にまで登り詰めることが出来るのだ。
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