リスクの中で

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――2005年3月―― まだ少し肌寒い日はあるけれど、日差しが暖かくなり春の雰囲気が出てきた頃。 私は妊娠中にも関わらず、体重が減り続けそれに伴い体力も落ち続けた結果 春になったにも関わらず、一日の大半を病室のベットの上で過ごすことになってる。 「もうすぐ、入学式だなぁ…」 病室のベットの上でため息混じりに独り言を呟いてた。 「行きたいけど、さすがにこの状況じゃ無理だな…はぁ」 窓の外の景色を眺めてると 「おはよう、朝のフルコースです。ご飯少しでも食べれた?」 フルコースって言うのは、検温、採血、点滴、血圧、赤ちゃんの心音確認、腹部エコーの事です。 ハーフコースだと、採血と腹部エコーと心音確認がありません。 「今日も朝からたっぷりいろんな事をするのね」 少々嫌みを交えて言うと、 「そうねぇ、体重が増えれば、減るんじゃない?」 こちらを見ながら、天使の笑顔で言ってくる あぁ痛いところをツかれてる… 「私も太ろうとは思ってるんだよ?ただ私の意気込みに体がツいてこないだけで…」 検温と採血をしながら、一応弁解。 「そうやね、意気込みはわかるわ。 だから体調良ければ入学式の日に外出が許されるかもしんないよ。先生に外出願いだしてたんでしょ?」 「まじ!やった!これ終わったら家に電話しに行ってこよ」 嬉しくてテンションが上がった。 「ハイハイ、でもこの後の検査忘れてない? 今日はこの後周産期外来があるでしょ? 後確か、心電図と……」 *周産期外来(しゅうさんきがいらい)とは…大きな病院だと今までは赤ちゃん産むまでは産婦人科、赤ちゃんが産まれたら、赤ちゃんは小児科でお母さんは婦人科ってなってたのを、 一つにまとめたものだそうです。 そうする事によって、生まれる前から赤ちゃんを見てくれた先生が、 生まれた後も見てくれるようになった。赤ちゃんにもママさんにも嬉しい内容ですね。 「はい、忘れてました、そして今天使の顔したアクゥマに思い出させられました。」 この後の予定を思い出して気分はまたどんより…
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