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病棟まで戻ると、担当の看護士さんが車いすを用意して待っててくれました。
「普通に歩いていけるのに…大袈裟にしなくても」
照れくさいのでなるべく車椅子に乗りたくない私は
ぶつぶつと文句を言いながら車いすに座りました。
「大袈裟なくらいでちょうど良いの、それでなくても無茶ばっかりするんだから!
そうそうおうちの人何て?喜んでたでしょ?」
「あっ!何にも聞いてない、内緒にしててって頼んで電話切っちゃった。」
「あらあら、また夕方にでもゆっくり電話しておいで」
こんな本当にどうでも良いような会話をしながら、
診察室の前の待合室まで連れてきてもらい、
「じゃぁ、終わったら迎えにくるから、じっとしててよ!」
最初に勝手に病室に戻ってしまった私は、いつも念押しされてしまう。
「はぁい」
片手をひらひらさせて気の抜けた返事を返すと
「○○さん三番の診察室へお入りください。」
すぐに呼ばれて、車いすを押しながら診察室中に入った。
「今日は定期検診と…心臓の方の検査だね?」
「みたいですね」
検査ばっかりであきている私は、なるべく認めたくない。
でもしないわけには行かないので、拒否したりはしない。
「まぁ、今回のは検診しながらやっちゃうから、そんなに時間かかんないよ。」
「先生、前回もそれ言った!でもいっつも時間かかるじゃん。」
「はいはい、んじゃぁ今日は本当に早く終わらせるから、
はい、検査室に一名ご案内してあげて」
外来の方の看護士さんが笑いながら、
検査室まで車椅子を押して連れて行ってくれる。
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