383人が本棚に入れています
本棚に追加
しまった、バレたか?
太平は自らの心臓が跳ねるのを感じた、が、その思いは杞憂に終わる事になった。
「もしも見付かったら、ご連絡下さいません?これがその子の写真だから。」
そう言って差し出された写真を見る。
…誰だこれは?
それが第一印象だった。
今日見た彼女とはまるで違う。
それは人形のように無表情で、全てを否定する、闇の目をしていた。
何より目を引いたのが、
「一番…」
一番と書かれたプレートを持ち、全裸のまま写真に写されていた事だった。
「…っ!」
思わず目を逸らす。
これは彼女じゃない。そう、思った。
「ふふ、刺激が強かったかしら。はい、これは私の名刺、何かあったら連絡を下さいね?」
じゃあ、と言って女性は太平の進行方向と逆に歩き始めた。
二人のスーツもそれを追う。
なんとも言えない気持悪さを抱え、太平はコンビニで食料とビールを買った。
今日は何だか酔ってしまいたかった。
「言った方が、良いのかな…?」
誰も答えない質問、故に自問を投げ掛けながら、太平は綾見澤が待つ自宅へと足を早めた。
最初のコメントを投稿しよう!