ある日の出逢い

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 2 「綾見澤さん、そっち側持ってくれるかな?」 「あいよー。」 あれから数日経った土曜日。 結局太平は何も言わないまま休日を迎えた。 何日かは綾見澤をベッドに寝かせ、自分が居間のソファで寝ていたのだが、綾見澤が申し訳ないと言った事により、急遽使っていない部屋を片付ける事になった。 勿論、提案したのは太平だ。この男、究極のお人好しである。 「なんか悪いな、アタシなんかの為に。」 一通り片付いた部屋の中央に小さいテーブルを置きながら、綾見澤は苦笑いで頬を掻く。 「全然、気にしないでくれよ。部屋も家具も余ってるからさ、使わないと勿体無いじゃないか。」 全く気を使った様子の無い太平の笑顔に、綾見澤は迷った。 このまま、話さないままで良いのか、と。 「…アンタさ、何も聞かないよな?」 空気を入れ替える為に窓を開けながら、太平はその言葉を背中で受ける。 「うん、誰だって聞かれたく無いこともあるでしょ?」 太平としては、「いつかは」話し合わなくてはいけなかった、と考えて居たので、然程気にする様子もなく言葉を返した。
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