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「あ、り、が、と、な、た、い、へ、い、ですか。どう思います?三番。」
太平の家から数百メートル離れた地点、並び立つ二人の内、双眼鏡から目を離しながら、白い髪を二つに結んだ小柄な少女は、隣で煙草をふかす赤い短髪の女に尋ねる。
「…一般人が一緒なら派手に実力行使に出る訳にもいかんだろ。
それになんだ、その男とそういう関係なら、黙って連れ去るのも後味が悪い。」
言って自分で赤い顔をする三番を見て、二番は気付かれない程の溜め息をついて、再び双眼鏡を覗き込む。
「…なら、今がチャンスですね。男は買い物に出掛けるみたいですよ。」
二番の言葉に、三番は煙草を踏み消して、二番の肩を叩く。
「二番は待機していてくれ。無駄だとは思うが、一応説得してみる。」
三番はそう言うと、立っていたマンションのベランダから「飛び降りた」。
三番が着地したのを確認して、二番は双眼鏡を部屋に投げ入れる。
「乙女チックなのは嫌いじゃ無いですけどね、流石に待機は退屈ですよ。」
ベランダから飛び降り、三番とは別の方角に向け、二番も足を進めていった。
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