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走る、いや、疾走する。
辺りに人の居ない事を確認して、跳躍する。
ニ三屋根を渡り、目標を見付けると、地面に降り立つ。
「何が一番を惹き付けたんでしょうね?」
目標と七メートル程の距離を開け、視界の端に映したまま尾行する。
歩いて行く内に人通りの多い道に出る。
身長の低い二番は、見失わないように二度程位置を変え、目標の真後ろに付ける。
やがて目標が店舗に入ったので、店舗の看板を見た。
「スーパー有像無像…もっと意外な場所を期待したんですけど。」
軽く残念な感情を持ちながら、二番もスーパーに足を踏み入れる。
独特の静かな活気が、二番には少し居心地が悪い。
だが今は興味の方が強いらしく、少しの笑顔を造りながら、目標の背中を見詰める。
別段変わった所など無い。だから気になる。
接触してみようか、と言う、悪戯心にも似た意志が芽生える。
その目標は、どちらの豚肉が安いか、と言う難敵に立ち向かっている訳だが。
「こんにちは、お兄さん。」
二番は笑顔で声を掛けた。
「はい?」
些か間抜けな顔をして、太平は声の主を振り返った。
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