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「くどい!アタシは戻らねぇ!」
太平の自宅隣の空き地に、綾見澤の声が響く。
「我が侭を抜かすな。お前だって、外で生きていけない事は分かっているだろう?」
怒声に近い綾見澤の声とは対照的に、冷静そのものの声で、三番は諭すように言う。
「…それでも、アタシはここが良い。」
「何故だ?何故そこまで此処にこだわる。今までは…」
「今までは遊びのつもりで外に出てた。けど今は、今は違う。」
綾見澤の覚悟を決めた表情に、三番は溜め息をついて低く言った。
「お前の所為で、あの男に危険が迫っても良いのか?」
「っ…!」
綾見澤は驚愕を浮かべた後、襲いかかるように三番の襟首を掴む。
「太平は関係ねえだろ!」
「本当にそうか?」
三番は掴まれた手を強引にほどき、胸のポケットから何枚か写真を取り出す。
それは全て、太平と綾見澤が一緒に写っている物だった。
「見ず知らずの男に拾われて、庇われて、共に生活して、それで本当に無関係だと言えるのか?
私達が本気で戦って、被害が及ばないと思っているのか?」
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