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死んでいると言うのは正しく無い。
正確には、死んだ筈だった。
アタシは重い心臓病で、例え移植しても、生きられる保証は無かった。
とにかく病気の進行を遅らせて、いつ来るか解らない死に怯えながら、窓の外を眺める毎日だった。
アタシは孤児でさ、それでも、義理の両親は優しすぎるくらいに良くしてくれたよ。
でもな?いや、だからか。
アタシは両親に言ったんだ。
「もういいよ、アタシの為に無理しないでくれ。」
ってな。
だってそうだろ?何回も受けた手術も、病気が進む度に強くなる薬も、とんでもない金額になるんだぜ?
アタシはそれ以来、手術も投薬も拒否し続けた。
でさ、そうすると病気はどんどん進んでく。
ある日、自分で分かったよ。
アタシは、もう死ぬってな。
そんな時だった、アイツが来たのは。
「生きたいのなら、私に従いなさいな。」
ぶっちゃけるとさ、そりゃ死ぬのは恐かった。
「答えはニ択、このまま死ぬか、超えて生きるか。」
アタシは答えた。
「生きたい…まだ生きてたいよ…!」
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