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「なっ、何がおかしいんだよ!」
女性は持つ手に力を入れる、が、太平の首に当たる場所は刃の背、太平の大事な首が切れる事はなさそうだった。
「いや、ごめんごめん。拾った、なんて言うからさ、仔犬や仔猫みたいだなって。」
太平は安堵しながら思案する。
安堵したのは女性に殺意が無いだろうと確信しての事。
思案したのはどうやって信用を得ようかと考えての事。
「うん、とりあえず、自己紹介しよう。でね?出来たら首の物騒な物は退けて欲しかったりするんだけど。」
女性は太平の言に、少し困惑したようなうめき声を洩らし、少し経ってから太平を離した。
太平は、ほっと息を吐くと、振り向いて女性の姿を見た。
顔色は良い。それには素直に安心する。
未だ警戒するような鋭い目で睨まれてはいるが、先程よりは幾らか、雰囲気は和らいだように窺える。
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