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「そう。まっ、薬の効きからしても、この辺りで倒れたのは間違い無い筈よ。病院に運ばれた可能性も否定出来ないし、万が一、警察の厄介になっているかも…
はぁ、ホントに迷惑ばかり掛ける子ね、一番は。」
一番、白衣の女性がそう言った瞬間、太平の体に電流が走った。
あれは恐らく、いや、間違いなく。
綾見澤を探している。
太平は緊張で目が離せなかった、それこそ、煙草が手元まで燃えているのも気付かないほど。
「熱ちっ!」
しまった、と思い口を慌てて塞ぐ。
が、もう遅い。
既に三人の視線はこちらに移っているし、逃げ出した所で余計に怪しまれるだけだろう。
逃げ切れる気もしないし。
「あはは…どうも。」
太平が弾き出した結論は究極の回避策、そう、笑って誤魔化すと言うやつだった。
「…どうも。貴方、今の話を聞いていたのかしら?」
「ええ、失礼だとは思いましたけど…」
嘘は身にならない。
飽くまで警戒しているぞ、と言う雰囲気を出し、怪しまれない程度の怪しさを出す。
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