2人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
「悪かったな。」
そう言って男は、手を私にかしてくれた。
「はぁ…もういいですよ。んじゃ、私はこれで。」
傘を持ってサッサッと立ち去ろうとしたがそうは、いかなかった。
「ちょっと、待てよ。そのままじゃあ学校にいけねぇだろ。俺ん家すぐ近くだからこいよ。」
そう言って男は、私の手首を掴んだ。
「結構です。大丈夫ですから離して下さい。」
そう言って抵抗してみるが、男は手を離さない。
「嫌だし。このまま、お前をびちゃびちゃな格好で行かせたら気分悪いし」
「だから、大丈夫って言っているでしょう。それに、雨が降っているんだから。もう一緒よ。」
「そんなことねぇって、大丈夫だからこいよ。」
「いいえ。行きません。学校の保健室にでも行けば大丈夫なんで、ほっといて下さい。」
勢いよく手を振り切って、私は傘を持って学校に向かった。
,
最初のコメントを投稿しよう!