夏休み~第四週目~

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え……? 急に真面目な調子で尋ねられたその質問に、俺は言葉を詰まらせる。 詰まらせるというか、焦って言葉に出来なかった。 ちょっとの間をおいて、ようやくつぎはぎではあるが口が回るようになる。 「ど、どうって、別にどうもこうも……。ミクは、そうだな、家族みたいなもん……かな。なんというか、兄妹みたいな?」 「それ、本当……?」 「あ、あぁ」 「そっか、『兄妹』か。……『姉弟』の間違いじゃない?」 慌てた様子の俺を落ち着かせようとしてくれたのか、さっきと同じ笑みで茶化すように言う紗季奈。 尋ねたときの真面目な感じはどこにもない。 「いや、さすがにそれはないだろ。……多分」 「どうだろうね。結構ミクちゃんの方がしっかりしてるとこあるしなぁ」 まぁ、確かに否定は出来ない。 だがそれは、自分の意志で物事を判断するようになってきているということだ。 つまり少しずつ本当の人間に近付きつつある。 ロボットとしての能力も失いつつあり、本格的に人間へと──。 「あ、そうだ紗季奈。お前にはまだ話してなかったよな」 「ん? 何が?」 「いや、実はミクのことなんだが」 俺は紗季奈に最近気付いたミクの変化を話した。 つまり、教えたはずの料理を忘れていたことだ。 故障やバグかもしれない。 でも人間に一歩近付いたと見なせるのではないか。 そんな胸の内を、話してみる。 「んー、なるほどねぇ」 腕を組むようにして、少し考える仕草をする紗季奈。 「確かにそれは安易には見逃せないね。精巧な機械ほど故障したときのダメージは大きいものだし」 「だよなぁ」 やはり、紗季奈もミクの変化を簡単には喜べないらしい。 あんなことがあった以上、最悪を想定してしまうのは仕方ないと言えば仕方ない。
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