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「私も」
俺が紗季奈の発案に唸るように考えていると、ミクは言う。
「私も、8月31日がいいです、たんじょーび」
「え?」
思いもよらない言葉に、ついミクの顔を覗き込むようにしながら聞き返してしまう。
「いいのか? 名前と同じで、一生使うものなんだぞ?」
まぁ、本来は名前と違ってそこに誰かの意志が介在することはあまりないんだけど。
だからこそいつでも良いという理由にもなるが。
でも、俺は別のとこが気になった。
どちらでもいいですよ、と言うのなら、納得出来る。
7月31日でも8月31日でも、どちらでも構わないと。
・
でも、8月31日がいいと言う理由は、一体どこにあるのだろう。
紗季奈もそこが気になったのか、
「どうして8月31日がいいの?」
なんて発案者のくせに聞き返していた。
いや、お前は同意しとけよ、一応。
「うーん、理由ですか?」
ミクは俺たちの問いに首を傾げながら、考えるように言う。
「実際、紗季奈の言う通りかもしれません」
「私の?」
「はい。誕生日のお祝いが待ちきれないんですよ」
笑いながらそう言うミクに、紗季奈は急に焦ったような表情になる。
まさか本当にそんな軽い理由で決めてしまうとは思ってなかったのだろう。
だから発案者なんだから以下略。
「い、いいの? 本当にそんな簡単に決めちゃって」
「はい。でも、他にもちゃんと理由があるんですよ?」
理由?
紗季奈が適当に言ったことを真に受けただけというわけではないのか。
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