夏休み~第四週目~

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そして、その日の夜。 俺とミクが晩飯を済ませ、ミクが眠りについた頃。 俺のもとに一通の電話が来た。 ディスプレイに映った名前は、紗季奈だ。 「もしもし」 『あ、こーちゃん? ごめんね、こんな遅くに』 時間で言えば0時を少し回ったくらいか。 まぁ、俺はだいたい毎日起きている時間ではあるが、紗季奈は気を遣っているのかいつもより小声で話す。 「いや、いいよ。ミクは寝てるけど」 声のトーンを紗季奈に合わせるように落とし、ベッドにごろんと寝転がってから言った。 普段ミクは遅くとも23時くらいには眠ってしまうのだ。 『うん、知ってる。だから今電話したんだ』 「……?」 ってか知ってるのかよ。 自分の就寝時間についてなんて話した覚えはないんだが。 俺のプライベートがどこまで紗季奈に漏れているのか、早急に確認する必要があるのかもしれない。 まぁそれは今いいとして(いや、全然よくないけど)、となると話の内容は。 「ミクには内緒の話か?」 『うん、ま、有り体に言えばそんな感じかな。雰囲気を重視するなら、作戦会議って感じ? いや、密会の方が様になってるかな』 受話器越しで楽しそうに、そしてそわそわした様子で語る紗季奈。 どうしてそんなノリノリなのだろう。 まったく話の見通しが立たない。 『要するに、昼間3人で話してたときにこーちゃんが考えてたことと同じだよ』 俺が考えてたこと? えーっと、昼間の話というと、ミクの誕生日の件だろうか。 あのとき考えてたことねぇ。 うーむ。 「……あ」 そうだ。 その話のとき、考えてたことと言えば。 「誕生日プレゼント、か?」 『ピンポーン、その通り』 「よく分かったな、俺がそのこと考えてるって」 なんとなくね、と軽く流す紗季奈だが、なんとなくで思考が読めるのか。 まったく恐ろしい奴である。
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