夏休み~第四週目~

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「まぁ、ここまで事態が進んだ以上、隠す気は無い。お前もじきに知ることだ、教えてやろう」 なんだ。 その言い方はまるで。 ・・・・・・・・・・・・・ 全部水面下で話が進んでいたかのような──。 「な、何の話だよ」 落ち着かせたはずの脳と心臓が、また暴れようとしている。 今度は。 抑えつけることなんか、出来やしなかった。 「『初音ミク』は、私が造った」 口も、耳も。 もうまるっきり仕事をしていなかった。 言っていることが全く理解できない。 脳が拒絶しているような感覚さえあった。 「信じられないといった顔だな。だが、事実だ。私が」 ・・・・・・・・・・・・・・・ お前の父親が、初音ミクを造った。 「この際だ、全て教えておいてやろう。後々質問責めにされては迷惑だからな。……っと、冴元」 親父はそう言って、椅子にどっかりと腰掛けて足を組み、二階から降りてきた男の方を見る。 「ご苦労だったな。今日はもういいぞ。また後日、追って連絡する」 「はい、それじゃあ、お疲れ様です」 男はそれだけ言って、俺には一瞥もくれずにリビングを後にした。 それを確認してから、親父は再び口を開く。 「さて、何から話そうか。そうだな……」 「なんで」 親父の言葉を遮るように、俺は言う。 さすがに落ち着いてなどいられない。 思ったままを尋ねるだけで、精一杯だった。 「なんで、ミクをここに送ってきた?」 「簡単なことだ。『監視しやすいから』だ。身内はその点融通が利いて都合がいい」 「何を監視していたんだ?」 「勘違いするなよ。お前のプライベートにはまったくもって興味はない。『初音ミク』がどのように変化、成長しているか、その過程を見ていたのだ」 親父は淡々と答える。 まるでこの問答に意味が無いとでも言わんばかりだ。 気に入らない。 その態度が、気に入らない。
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