魔王が現れた。

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   俺は勇者だった。  伝説の鎧を身に纏い、伝説の盾を左手に装着する。 そして伝説の剣を握り締めてモンスター達を薙ぎ払い、ついには邪悪な魔王の首を討ち取り、囚われのの姫君を救い出す。  かくして世界に平和が訪れた。  めでたしめでたし。  「起きろ!」 するとその男らしい図太い声と同時に、激しい衝撃を頭部に受けて自分は現実世界に引き戻される。  魔王が現れた。  自分は頭が回らず、空ろな視線をそちらに向ける。 そこには分厚い歴史の本を持った、切れると怖いと評判のスキンヘッドの魔王が自分に鋭い視線を向けていた。 生憎それに抗えるような伝説の装備は持ち合わせていない。  どうやら現実の世界では、まだまだ平和は訪れないようだ。  そんなこんなで、自分終了のお知らせを告げるような、チープな音のチャイムが聞こえた。
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