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それから少し経つと、弘樹の携帯が鳴った。
一言謝って、リビングを出る。
家の中は静かだから、話し声が聞こえた。
「……悪い。今日やっぱ行けない。また今度な」
弘樹がリビングに戻ると、私は聞いた。
「ごめん。話し声聞こえちゃった。……ねぇ。今日予定あったの?」
「あ……」
弘樹は、しまったという顔で、立ちつくす。
「なのにどうして」
「お前が心配だったんだよ」
弘樹は顔を真っ赤にして、目を反らす。
ちょっと照れながら続けた。
「今夜両親いないって聞いたし、お前、友達にクリスマス誘っても断られていたし。昔から寂しがりやって知っていたからな。どうせ今日は男同士、いつもの遊びと変わらないしな」
じゃあケーキ一緒に食べるっていうのは、少しでも一緒にいる口実?
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