アナザー・マイホーム

3/7
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
目を醒ますと、周りには滑り台やジャングルジムなどの遊具が立ち並んでいた。 どうゆうわけか、僕は仰向けで公園のベンチに寝そべり、そのまま眠ってしまったらしい。 太陽が僕の真上にある。 あまりの日差しの強さに耐え兼ね、おもむろに手で遮った。 しかし、こんないい天気の日だというのに、辺りには子供の笑い声はおろか、人の気配すら無い。 ――おかしいな。 公園の真ん中には細長い鉄柱があり、上部にスピーカーが3台取り付けられている。 ほどなくしてそこからサイレンのような…いやこれは正午を知らせる時報の音だ。 その音が町全体に響き渡る。 なおさら不可解だ。 こんな真っ昼間なのに、車が走る音すら聞こえてこない。 気配も町の喧騒も虫一匹の鳴き声も何も無い。 聞こえるのは時報の音だけ。 やがてそれも止み、町は再び静寂に包まれる。 まるで死んだように静かだ。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!