0人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
そこに立っていたのは、見知らぬ男だった。
「あの…どちら様ですか?」
男は訝(いぶか)しげに僕の顔を覗き込む。
狐につままれたような表情を浮かべるその男に対し、僕は困惑を通り越して怒りを覚えた。
つい先ほどまで凍えていたという事がまるで嘘であったかのように、僕の全身は急速に熱を帯びていく。
「あ、あんたこそ誰だ!?ここは僕の家だぞ!」
僕は素早く立ち上がり、男の胸ぐらへ掴みかかった。
「うっ!な、何をするんですか!?…く、苦しい…ちょっと…待ってください!落ち着いて!これじゃあ何も説明出来ないじゃないですか!?」
「説明なんて要らない!今言った通り、さっさと僕の家から出ていけ!」
振り上げた右手を拳に変え、今まさに男の顔面へ殴りかかろうとした矢先、男は不可思議な事を口走った。
「義之君、ここにはもう君の居場所は無いんだよ。」
最初のコメントを投稿しよう!