線香花火が消えるとき・・・

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あなたは夜空を見上げながら、私に問いかける 「俺と初めてしゃべった時の事覚えているか?」 私はあなたの顔を見ずに答えた 「覚えてない・・・あなたはいつから私の隣に居たの?」 あなたは、私の方を向いてこう答えた・・・ 私もあなたの方を向いた・・・ 私はあなたの瞳の中に私の姿をみた・・・ 「去年のちょうど一昨日だよ」 彼は微笑んでいた 「そう・・・もっと前から・・・私の隣に居た感じなのに・・・たったの一年なんだね・・・」 「うん・・・一年だ・・・初めて会ったとき、俺はびっくりしたよ」 「なぜ?」 私はあなたに問いかける・・・ 「だって、自分と同じように心に壁を積み上げて他人を入れないようにしていた君を見つけたから」 私は少し恥ずかしくなり目をそらした・・・ あなたは、ふいに立ち上がり、私に手を差し伸べた 私はその手を取り立ち上がる 「初めて会ったときの事を覚えていないなら、半年前に言ったことを覚えてる?」 「半年前?」 私は思い出そうと記憶をたどっていく・・・ でも、半年前の言葉が多すぎてを思い出すことができない・・・ 「覚えていない・・・」 私はあなたの方を向いて正直に答えた すると、あなたは軽く笑いながらこう答えた・・・ 「そうか・・・じゃあいいや」 私はあなたに問いかける 「それは大切なことだった?」 彼は首を振りながらこう答えた 「全然大切なことじゃないよ」 「そう・・・」 私はあなたと手を繋ぎ歩きだす・・・ 何も話をしたりする訳でもないけれど その時、私はあなたの隣に一番近くいるような感じがして ちょっとうれしかった・・・ そして、あなたはいつも通り私を家に送り届けてくれた・・・ そして私に線香花火のあまりを私に差し出した 私は何も言わずにそれを受け取った そしてあなたはいつものようにこう言う 「じゃあな・・・次はいつ・・・会ってくれる?」 私もいつも通りこう答える 「わからない・・・」 そうするとあなたは満足したように 手を振り去っていった・・・ 姿が見えなくなるまで私はその後姿を見送った・・・
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