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あっ
「っっつーーーいっ!」
狭い部室の中で、上山は叫んだ。
「寒いって言いなさい、寒いって。暑いなんて言ってたらもっと暑くなるよ。」
とはいえ、そういう私、笹川亜理子の額にも、汗が滲んでいるのだが。
「何でエアコン壊れたのよーっ!」
…そう、我らがT高校弁論部部室のエアコン(通称田中さん)は、一週間前に旅立って逝ってしまわれたのだった。
「上山、うるさい…」
石崎君が端正な顔を歪ませて言う。
「只でさえ暑いのに、お前の声がキンキン響いて…」「なんだと!?あたしの声が耳障りだって言いたいの!?」
対する上山はもう喧嘩ごしである。
「あー…また始まった…」
誰からともなくそう言った。
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