第二十五章~囚われの翔と一族の悲願~

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 そういえば……。昔から湍水さんって、女性の心理に疎かったっけ。翔も疎いし、鈍い二人だ……とよく思っていたことを、暁は思い出していた。血筋というよりは、環境のせいだろう。  湍水の場合、兄と義姉の二人が、父親とうまく行っていないことを肌で感じていたし、翔の場合は、恋愛感情を排除してきた節がある。  まあ、仕方ないですね。髪の色が気になったり、人とは違う力を気にしていたからそれどころではなかったでしょうし。ま、朝陽の場合は、単にお馬鹿なだけですが。  暁は、お馬鹿な従兄弟をちらりと見て、ちょっと衝撃だという顔の湍水を見て、クスリと笑ってから走る足に力を込めた。  この面々に、足りない男を迎えに行くために。
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