第二十五章~囚われの翔と一族の悲願~

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 「我々は、一族の里がどのようなものか、解りません。貴女に案内してもらわねばならないのです。」  もう一度強く頷くと、恵風は一族の里について説明を始めた。  「では、結界とやらを通り抜けなければ里に入れない、と?」  湍水の問いかけに、恵風はそうだ、と答えた。やはり、風の一族。一筋縄ではいかない。だが、翔を取り戻すためには挑まなくてはならない。  「王家など……。水雪の血を引く者など、信が置けない!」  いきなり恵風が声を荒らげた。  「恵風さん?」  「信じて……来たのです。風華が言っていたことを……。」
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