第二十五章~囚われの翔と一族の悲願~

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 現国王が病にかかり、新国王として皇女が即位すること。新国王の代理として蒼皇子が立つことも既に噂されている事で、蒼皇子の評価が高まった。  これを起きてから聞いた暁と朝陽は、噂を流したのが湍水だということに気付き、国の中枢は大丈夫だと暗に理解した。 ………………………*………………………  「では、千里様。長らくお世話になりました。さようなら。」  「いいえ、恵風さん。行ってらっしゃい。ですから、行ってきます。ですよ。」  恵風は、驚いた顔のあと、ゆっくりと微笑んだ。  「行ってきます。必ず翔を連れ帰ってきます。」  水蓮を出るまでは、恵風の歩く速度は普通の女性よりやや速い程度のものだった。だが、水蓮を出た途端、暁どころか武官である朝陽を置いて行く程の速さとなり、唖然とした。
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