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まさか、自分が息を切らせながら人を追い駆ける日が来るなんて……。
朝陽は思いつつも、恵風を懸命に追う。朝陽でさえ、息を切らせているのだ。いくら、幼い頃より朝陽と一緒に行動していたとはいえ、文官の暁では……。
だが、暁は文句も言わずに着いて来ている。それでも汗を掻き始めた従兄弟を見るに忍びず、朝陽は提案した。
「申し訳ないとは思いますが、あまり急いで、体力が無くなっても困ります。恵風さん、もう少し速度を落として頂けますか?」
「えっ?あ……あら、ごめんなさい。逸る気持ちを抑えきれなくて……。」
「俺達も気持ちは同じですが、疲労しては……。」
「ええ。だから、全力ではないわよ。」
にっこりと笑った恵風に、再び二人は唖然とした。
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