第二十五章~囚われの翔と一族の悲願~

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 「ぜ……全力では……無いんですか。」  暁が呼吸を調えることに失敗して切れ切れに話す。  「ええ。もちろん。」  「失礼ですが、水蓮を出るまでとは明らかに違いますが……。」  朝陽の問いかけに、恵風はあっさりと答えた。  「水蓮では、力が使えないでしょう?」  朝陽も暁も意味が解らず、首を傾げた。  「ああ……そうだったわね。普通、外の人間には力が備わっていないのよね。ちょっと失礼。」  そう言って恵風は、何やら小さく呟くと、二人の足に軽く触れた。途端に二人の足は、まるで重さを感じずに軽くなる。おまけに、暁を襲っていた足の気だるさは無くなっていた。
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