第一章~官吏登用試験~

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 長い付き合い故に、その眼差しだけで、機嫌を推し量れる。今日はそんなに、悪くない。  暁の肩まで伸びた髪は、さらさらとしていて、女性が羨むほど綺麗で、緋い色をしている。  目が朱色で見る者全てを射抜くようだ。片眼鏡を掛けているから、余計に冷たい印象を与えるのかもしれない。  ちなみに美少女と間違えられることはしょっちゅうで、報復を受けた奴は数知れない。  ある人物は、暁を女の子と本気で間違えて、雪の降る日に、笑顔で水をぶっかけた。一歩間違えれば、生死に関わる。  しかし、暁はしれっと言ってのけた。  「寒中水泳みたいなものですよ。」  以後その人物は暁に近づかなくなった。
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